マディソン・カウンティーの橋
NHKの衛星映画でマディソン・カウンティーの橋を見た。ずっと昔の映画だけど見るのは初めて。おばさん向けのメロドラマだろうと勝手に考えていたが間違っていた。すごく良く出来た映画だった。
確かに主人公のフランチェスカ(メリル・ストリープが演じる)は太目でくたびれた農家の主婦に見える(それにしてはちょっときれいだけど、でも頬や目じりに深いしわが刻まれている)。でも浮き立つ心を沈めようと恥らいながらロバート・キンケイド(もちろんクリント・イーストウッド)の心を惹こうと言葉を重ねてゆく。
物語のもう一つの主人公の橋の前でロバートにポートレートを撮ってもらうフランチェスカは女子中学生のように恥ずかしそう。ロバートは撮影に任せ世界のいろんな処を渡り歩き孤独な暮らしを続けた自分のことをCitizen of the worldと言っている。その彼がフランチェスカと話すと何故か落ち着いて自分自身を素直に出すことが出来る。彼女も何一つ不満の無い家庭の主婦なのに、彼に惹かれて行き、彼とのディナーのためにドレスを新しく買ってしまう。
話にすれば単純なストーリーだが、一つ一つの場面が心を動かし美しい。一番気に入ったセリフはロバートがフランチェスカに愛を打ち明けるとき、This kind of certainty comes just once in a life timeと言う。カサブランカの名セリフの数々に勝るとも劣らないセリフだと思う。
そして名セリフは無いんだが、ロバートの乗るピックアップの後ろで、フランチェスカが夫の運転するピックアップから降りて彼を追いかけようとドアのハンドルを握るのだが力が入らない。そのアップがまた女心を映すようで美しい。元の小説も読んで面白いのだろうが、映画のマディソン・カウンティーの橋は映像の持つ力をフルに生かし画面の一つ一つに詩が感じられる佳作だと思う。
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